
評価:22/100
思い入れ:65/100
劇場版の続きとして強固なテーマが設定されており、"その後"の見せ方としては悪くない作品でした。
個々のエピソードはコンテンツの積み重ねがある分とても魅力的でしたが、ゲーム全体としての出来は酷く、思い入れ点はここが限界。描こうとしていたドラマ自体は少なくとも80台をあげられるスペックを持っていると感じられたので非常に残念です。
今作で特に良かったのは劇場版の"その後"を描いてなお劇場版を汚さなかった点でした。良くも悪くも尖りすぎている劇場版から地続きで新しい物語が描かれていたのは凄かったと思います。
共通パートで地の文にもボイスを付けていたのは印象的でした。舞台の演目であることを読み手に意識させるためなのかなと思います。また、イントロダクションの「愛城華恋は舞台少女……次の舞台へ――!」はシンプルながらとても良い演出が組まれていたのも良かったです。これがあったからこそ次の場面に没入できましたし、共通パートの掴みは抜群でしたね。
OPでアピールされていた「奏像のレヴュー」はこれまでにない切り口だったので衝撃を受けました。あのキャラクター達に再びスポットが当たったのが嬉しかったです。
グランドEDムービーはとても素晴らしい出来だったと思います。映像美はもちろん、描かれている内容はほんと……スタァライト歴が2年も無い僕ですら感慨深かったので長く追っているファンにはたまらない内容だったはず。楽曲も良かったね……
以下無限悪口編。ネタバレ含む&口が悪くなるので苦手な方はご注意を。
あんまり人に読ませる気がないので改行が普段以上にめちゃくちゃかもです。
いや、何これ?ノベルゲームを舐めているとしか思えない。
折角ノベルゲームを普段プレイしない人がたくさん触れてくれる場になってたのにこんなもの出してこないでよ。ノベルゲーム媒体が持っている可能性を信じている1ユーザーとして非常に腹立たしい。
まずはテキスト。各個別√で被っている部分があまりにも多すぎる。全オートで流したプレイ時間であれば値段相応(あるいはそれ以上)のボリュームになるだろうと思うけど、被ってる分を除いた実質のテキスト量は相当少ないでしょ。とてもじゃないけどこれに演出意図があると肯定的に受け取ることはできない。普通にどう考えても手抜きじゃん。
公演シーンではキャストによる演技の違いが楽しめるって?エルドラドモードがあるからそっちで充分なんですよ。本編内でそんなことやられても退屈。いやまあこのモードが「本編で色んなキャストに同じセリフ読んでもらってるから作っておこう」っていう成り立ちな気がするからこの意見はお門違いなんだろうけど。でも読んでてキツかった。「いつ違いが出てくるのかな……」って思いをしながら読むのは普通に苦行じゃん。違ってるところと同じところのバランスが悪いし。各√の被ってるところは全オミットでメイン2人の描写を補強してほしかった。そもそも個別√は基本的に描写不足だし。しかもテキストと演出でカバーしあう姿勢が微塵も見られない。演出組みで魅せきれないなら地の文書いてよ。地の文が無いなら演出しっかり組んでよ。挙げ句の果てにはボイスとテキストの不一致。台本の不備とか後から修正入れたとかでキャストがルビの方で読んでないってごくたまにあったりするんだけど、よりにもよってスタァライトでそういうの起こすのやめてよ。個人的な話だけど九九組キャストみんなにめちゃくちゃ思い入れがあるからこれほんとに我慢ならなかった。よりにもよって大事な口上の場面でそれやらかすことある?あったわ。こういうところに開発の舐めた姿勢が出てて凄まじい嫌悪感に繋がるんだよね。
まひなな含め個別√の展開をテンプレートで固めていたのは大きなマイナス。√毎に人物配置の違いによる個性はあるけれど、やることはほぼ同じで飽きがくる。内容が大きく違うのは第14B場のコメディパートだけ。それも各√でここに配置されるべきっていう必然性がないし。4つコメディシーン作りましたーこうやって分散して配置しときますーなんだよね。まあこの構造でまひなな√における奏像のレヴューのインパクトが強調されているっちゃいるんだよ。でも犠牲にしてるものが大きすぎるわ。海の背景を4√で全部別のものを準備したのは偉かったけどね。もっと他にリソースを回してほしかったよ。全体の尺が長すぎるということはないんだから同じテキストで埋めてる場合じゃないんだわ。
あとルートロックの仕様が甘いよね。グランドED到達条件とまひなな√の解放条件が噛み合ってないんだよ。この構造なら1√攻略で解放じゃなくて他3√攻略後にしとかなきゃダメでしょ。「あっスタンダードなエルドラドの公演終わったな」→グランドED突入!とか全体の流れとしてパッとしないにもほどがあるよ。僕はななまひ√最後に残したから助かったけど。いやまあちゃんとチェックしてないからグランドED到達が順不同の4√攻略じゃなくて単にまひなな√攻略だけだったらごめん。まあ仮にまひなな√読むだけでグランドEDに到達できるんだったとしてもそれはそれでおかしいんだけどね。他3√の価値が無くなると言っても過言じゃないし。
演出まわりは先に触れたイントロダクションの締め以外はちょっと……特に立ち絵素材の切り替えが硬すぎて全体的に安っぽく見える。ポーズとか表情が余韻ゼロでパッと変わるの、これは流石に何か思う人が開発にいてほしかった。令和の作品の動作じゃないよこれ。
立ち絵素材の不足は特に公演シーンの開演前と幕間で悪目立ちしてた。出番が少なめの役は立ち絵が汎用のものになるのはわかる。仕方がない。でも本編内でその役にキャスティングされてるキャラクターがジャージ着てるのはどうかと思う。開演5分前で普通に出番控えてるのにジャージ着てるなんてことある?個別の立ち絵準備できないなら画面に映さない演出を組んでくれよと。1√目読んだとき「ん?描かれてない場面で役降ろされた?」とか本気で思ったからね。汎用立ち絵の役をもらってる都合でこうなってると気付いた時愕然としたよ。あと私服の差分が無いのはわりと終わってる。私服立ち絵を使うべき場面はたしかに少ないんだけど……制服で京都の海に行くのはぎりぎりアウト(違和感の方が強い)。露崎家@北海道に制服は完全にアウト。私服デザイン自体は過去の企画で色々あるでしょうに……デザインからの完全描きおろしよりはまだリソース少なめで済むじゃん。
初報の発売予定時期から半年ズレてこれというのがね。クオリティアップ以前にそもそもの組み上げが難航しまくってたんだろうなと考えざるをえないのが嫌なところ。新規のボーカル曲が5つもあったからそっちにだいぶ予算を持ってかれたのかな。でも作品全体のバランス感覚はしっかり持ってほしかったね。まともに監督業やる人いなかったの?ディレクターが制作進行の管理メインで仕事してクオリティラインはクリエイターにおまかせなパターンなんかは聞いたことある(むしろそれがよくある形っぽい)けどそれが許される開発チームじゃなかったでしょこれ。1ユーザー目線ですらこう思っちゃうって本当にダメだよ。これが初めてで「ノベルゲームってこんなもんよね」とかユーザーに思われるのはめちゃくちゃ嫌なんだけど。マジで勘弁してくれ。
書き忘れてることがまだまだありそう……まあこの作品の印象は大体こんな感じ。
多分無いだろうけど、次があるとしたらこんなクオリティで出してくるのは本当にやめてほしい。本作は商品として認めたくないし、台本と朗読劇円盤の付属品を名乗ることすら烏滸がましいよ。終わってる。