ぎょぎょ雑記

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終のステラ 感想

評価:88/100

思い入れ:80/100

 

緻密な世界観設定で描かれる、ドストレートなSFもの。

アンドロイドが持つ「心」という定番のテーマを熱量たっぷりで届けてくれました。

 

乾いた印象を受けるテキストはもちろん、演出やUIデザインが抜群の没入感を生んでいたと思います。豊富な絵素材をフル活用した演出はとても見応えがありました。ここ最近ツイッターなどで度々言及している「奥行き」のある類の演出ではありませんでしたが......

特に推したいのはUIデザイン。右クリックで呼び出すメニューは利便性という面で見るとどうしても評価が落ちてしまいます。しかし、洒落たデザインとSEによって、まるで作中世界観の機器を触っているような感覚が得られました。これがすごく良い体験になったと思います。先に述べた没入感を生み出すのに一番貢献していた要素はこれだったかもしれません。

テキストが全面表示になっていたのも良い点でした。読みやすいのでこの表示の仕方が僕は一番好きなんですよね。よくあるテキストウィンドウ形式の作品でも、頻繁にバックログを使ってなるべくこの形式に近づけて読んだりしています。

 

サウンド面もかなり良かったのですが、雰囲気重ための戦闘楽曲がもう少し欲しかったかなと思います。バリエーションが足りていないように感じてしまいました。

 

世界観設定はドンピシャで僕の好みでした。荒廃した未来がまず大好きですし、アンドロイドが心を持つという事象にしっかりと理由をつけていた点が好印象。フィリアとジュードの心が揺れる描写が大好きです。

その先の広がりを予感させてくれる締め方も余韻たっぷりで最高でした。特典の小説をあまり読みたくないと思ってしまうぐらいには綺麗な終わり方だったと思います。

 

 

以下ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

個人的には、安易にフィリアを恋人ポジションにしなかった点をとても評価しています。

ジュードの生き方を継いで、人助けを積極的に行っているような未来が描かれていて。恋人ではなく娘である方が未来への希望がより引き立つと思うんです。恋人という対等な立場ではなく、(雑な表現となりますが)下の立場からの方が成長を遂げたというイメージをより持ちやすくなるんじゃないかなあと感じました。