評価:92/100
思い入れ:97/100
大河モノと呼んでも差し支えないぐらいのスケール感で描かれる大スペクタクルファンタジー。冬茜トムらしさを存分に出しながら、王道な展開を王道らしくバッチリと見せてくれました。大満足です。
やはり最初に取り上げたいのはキャラクター同士の繋がり。冬茜トム氏は『もののあはれは彩の頃。』から一貫して「縁」はものすごく意識されてるのだろうなと思います。
ソーマとペガサス組の間に結ばれた絆。字面だけだと僕にはなんだか軽く見えてしまうのですが、これがめちゃくちゃ僕の心を打ったんです。恒例のギミックが上手く作用していたと思いますね。あの章の後半なんかはもう本当にズル……
敵側のキャラクター達も揃って魅力的でした。これまでの作品よりもメイン級のキャラクターが増えまくっているように感じていたので、大丈夫なのかなと発売時までずっと心配していました。バトル要素が入ってくると(エロゲにおける)サブキャラクターの魅力がより大事になると思うので……
ですがそこは流石の冬茜トム。いつも通りキャラクターの捌き方が抜群に上手かったですし、キャストの方々の演技も素晴らしかったので、様々なキャラクターに没入と言ってもいいぐらい感情移入していました。
ここからは気になった点を3つ。
1つ目は絵素材の不足です。いや、あの枚数で何を言っているんだという感じですがどうしても気になってしまって……差分が足りないなと思ったんです(欲を言えばCG自体あと1割増しぐらい欲しかったり)。テキストとの不一致がわりと良く出てきていたのが本当にもったいなかったなと。剣を弾いてステゴロに持ち込む場面で剣を持っていたのを見てしまった時は危うく冷めそうになっちゃいました……
2つ目。絵素材の不足に関連して、というおはなしになるのですが戦闘面の演出にもう少し工夫が欲しかったです。いやまあこれも完全にワガママなんですが……
ここ1年ぐらいでバトルありのノベルゲーには奥行きのある演出が欲しいと思うようになったのです。紙芝居を脱却するには奥行きがどうしても必要なんですよね。もちろんきゃべつそふとの過去作と比べて演出面は強化されていると思うんですが、もう一息欲しかったというのが本音です。
最後に3つ目。最終盤の展開に対して、プレイ中はあまり気持ちが乗っていかなったことです。ネタバレは絶対にしたくないので特にこれと上手に説明ができないのですが……あの場面は変わった演出を控えめにしてじっくりやっていた方が終幕がより心を打つになったんじゃないかな、と個人的には思います。あの形の方がテンポ良くてスカッとする人も多そうなのであんまり強く主張はできないんですけどね。
本記事全体の文量を見ると気になった点が異様に多いですが……この作品はめっちゃくちゃ僕にブッ刺さってきました。当分の間Twitterではジュエハに狂っていそうです。作品世界観に没入していたこの数日間。忘れられない思い出になりました。
ちなみに。ピアノメドレーはコミケまでを努力目標に完成させたいと思います。楽曲についてのおはなしはそちらを完成させてからということで……