評価:65/100
思い入れ:78/100
『ホケジョ』『ホケロリ』に続くシリーズ3作目。このシリーズ、「ホケジョシリーズ」と呼ぶのは何か違う気がするんですが他に何か良い呼び方ないですかね?
『ホケロリ』との共通パートがあるためかこれまでより値段は控えめ。ただし本作だけ外箱がないので並べた時に凄く違和感が出ます。予算の削減という意図こそ感じられますがここは統一してほしかったですね……
良かった点から。
まず前作までと比べ恋愛が自然だったのは非常に大きな高評価ポイント。
正直なところ『ホケジョ』『ホケロリ』は恋愛がかなり無理筋なように感じていました。肉体関係を持つに至る流れが自然だったか?説得力はあるのか?というやつですね。
僕は『ホケジョ』では全く必要なく、説得力もなかったと個人的に思っています。『ホケロリ』だと必要性はなくもない、説得力はそれなりにあるがシロバナとの関係を考えると少し不足気味というラインでした。
そして本作。先生と生徒というハードルは最低限描きつつ(結局保健室でちゅっちゅしてるのはどうかと思うけど)、鈴が恋に悩む様子をしっかりと描いていて説得力は申し分なかったです。あえて言うなら蒼空が鈴に惹かれる過程がもう少ししっかりしていても良かったかなというぐらい。
肉体関係を持つのも割と自然に感じられました。前作までとの明確な違いはあったのかというと、ちゃんと言語化することはできないのですが……
次は、伝えたい思想が分かりやすかった点。
このシリーズは意外とカロリーが重く、テキストを咀嚼しようとすればするだけ疲れてくるタイプだと思います(ただしサラリと流すこともできる)。
『ホケジョ』『ホケロリ』では作品が伝えたがっている思想があまりはっきりと掴めませんでした。僕は頭が弱いので……
おそらくそのあたりにグッと惹かれたプレイヤーもいるとは思うのですが、僕はキャラクターのドラマに焦点を置いて楽しんでいました。
それに対し本作は鈴と蒼空のドラマに付随するメッセージ性までしっかりと味わうことができました。上手く自分に刺さってくれた、と言うべきかもしれません。
特にエピローグの読後感は最高で。2人のこれからを想ってジンと胸が熱くなりました。
良くないと感じた点。
まず『ホケロリ』との共通パートに出てきたボイスのミス。流石にキャラクターの名前を読み間違えているのは音響スタッフと声優共に印象が悪すぎるでしょう……それもかなり良い場面で……そりゃ冷めますよ。
もしかしたら『ホケチョ』で録り直ししてくれてるかもしれないな、と思ってましたがまあそのままでしたね……
次は山場でのテンポロス。
視点をコロコロ変える手法はままありますが、それを山場で使うのはよっぽど上手くまとめないとテンポが悪くなるだけだと思います。
本作はまさにそこで引っかかってしまったんですよね……展開自体は良かったのにもったいなかったかなと。
最後に予算の都合が見え隠れする点。
外箱がないのもその一つですが、その他にカッコ書きテキスト(キャラクターの心の声)にボイスがついていないこととタイトルコールがないことが非常に気になりました。
『ホケロリ』でもタイトルコールはあったんですけどね……そのあたりはもう少し踏ん張って欲しいところでした。
評価としては『ホケジョ』の方が高く点をつけますが、シリーズの中では間違いなく『ホケチョ』が一番好みでした。
少々引っかかる点はあるものの、毎回楽しんで読むことができてるので次があるならそちらも是非読んでみたいです。
七菜がめちゃくちゃ好きなので彼女にスポットを当てた物語が欲しいところですね。