歌:鈴湯∞山本美禰子
作詞:山本美禰子
作曲・編曲:矢野達也
これまで出会ったノベルゲーOPの中で一番の化け物(褒めてる)だと思っています。
これまでFAVORITE作品を読んだことがなかった僕が『ハラショウ』に触れようと思ったきっかけは、このOPでした。公開された時にたまたま鈴湯さんのツイッターで告知を見て、聴いたらあっという間に虜になりました。
今では『ハラショウ』が本当に大好きで、思い入れとしては一番高い点をつけています。いずれ懐古として感想記事出しますね。
この楽曲の特色はなんといっても「表情の豊かさ」ではないでしょうか。
ゲームサイズでも転調が3回、拍子は4/4、3/4、5/8が出てくる、といっそ目まぐるしいと言えるぐらい多くの展開が出てきます。
目まぐるしいという表現をしましたが、まとまりがないと感じる人はいないのではないでしょうか。そこまで音楽の理論に詳しくないのでしっかりと分析できるわけではありませんが、完全に計算ずくなんだろうなあと思います。
ここからはゲームサイズの範囲で流れを追っていきます。
・イントロ
某歌劇団のような雰囲気なのはさておき、早速ツインボーカルの強みが出ていると思います。
"共に行こう"で初めてお二方の歌声が揃う、その構造だけで充分にドラマが作られているんですよね。聴き手の感情が乗りやすいはずです。
・Aメロ前半
ベルのような音がとても印象的。この音は他の部分でも使われているのですが、ここが一番目立つ役回りを受けていると思います。
始めはベル、ピアノ、ベースのみでとても静かに、"探してたね"からはストリングスやドラムなどの音が増え、後半に向けて少しだけ盛り上がりを見せていく形になっていますね。
・Aメロ後半
1度目の転調。ドラムが前半より多く刻んでくるためかなりテンポ感が良くなります。
このAメロの流れが歌詞ととてもマッチしているように思えるんですよね。
前半は遠く遠くの目標を見つめる(あるいは探している)イメージ、後半から歩き始め……気持ちとしてはスキップしているような……といった情景が浮かんできます。
・Bメロ
2度目の転調、そして3拍子への切り替わり。少し落ち着いた雰囲気を見せますね。
歌詞の内容としては「忘れてしまいそうな思い出に耳をすます」といった感じでしょうか?
少々控えめなサウンド方面は「自身の内面に潜り込む」ような雰囲気があるなと個人的に思います。
・サビ前
サビに向けた助走のような5/8拍子パート。テンポが悪いと感じる人もいるかもしれません。
ガンガンに盛り上げすぎることもなく、ボーカルに上手くバトンタッチするような塩梅で収めているなと思います。いやまあ、拍子が変則的なので多少強めな存在感が出ているかも……?
・サビ
ツインボーカルであればやはりサビの入りは2人揃いますよね。ど定番だと思います。
ストリングスは1,3拍目を強拍としていてとても素直。ここまで様々な工夫を凝らしてきて、サビからはどストレートに攻めてくるのが恐ろしすぎる……
そして後半はダメ押しのように3度目の転調。このような構成は時々見られるのですが僕は大好きです。
・後奏
ガラリとリズム感が変わり、2拍3連で強烈な印象を残していきます。
最後の最後でガクンと揺さぶられるおかげで記憶に残りやすい効果が出てるのではないかなと思いますね。僕が初めて聴いた時は置いてけぼりにされてそれどころではなかった記憶がありますが……
ゲームサイズで流れを追っていきましたが、この楽曲はフルサイズこそ真骨頂だと思います。ぜひパケ版の封入特典やサントラで聴いてみてください。