歌唱:佐咲紗花
作詞:KyoKa
作曲:藤井稿太郎
編曲:藤井稿太郎
Mixing Engineer:百田尚史
1stOPとは打って変わってダークファンタジー一直線。発表された時はまだ体験版フルバージョンが公開されていなかったのでTLがざわついていた記憶が。僕もめちゃくちゃ衝撃を受けてましたね......
まさかのボーカル:佐咲紗花さん。力強い歌声から言葉のナイフをガツガツ刺しにきているように感じます。
歌詞は本当に秀逸。KyoKaさんのセンス爆発。最高としか言いようがありません。倫理観を揺さぶってくるようなワードチョイスが素晴らしいです。
曲調、歌声、歌詞の噛み合いがとんでもない相乗効果を生んでいる楽曲だと思います。
・イントロ
前半部分、少しだけ出てくる2拍目4拍目を強拍としている部分が印象的でしょうか。爆発への助走として凄く良い味が出ていますね。
後半の『君とのミチシルベ』のセルフオマージュのようなフレーズはファンであれば猛烈に刺さったと思います。実際のところこれセルフオマージュなんですかね……?僕はそうだと思ってるんですが……
・Aメロ
"鮮やかに現実を濁らせて"が印象に残りやすい歌詞だと思います。"鮮やか"というプラスのニュアンスと受け取ることができる単語がポイント。おそらく血のことを語っている歌詞だと思うのですが、その色に対し「感情を飲み込んで肯定的に受け止めなければならない」「嫌悪感が溢れてくるがどうしても目を離せない」といった雰囲気が出てきていると感じます。
後半から入ってくるピアノの音がとても素敵。遠くを眺める(あるいは昔の記憶を思い出す)ような雰囲気が出ていて、歌詞とよくマッチしていますね。
・Bメロ
前半はギターにメリハリが出てくるパートですね。ただひたすらに走り続けるのではなく、ブレーキのような間を入れるのはスタンダードな構成だと思います。
サビ前("紅に〜"の部分)はちょっと珍しい進行が出てきているのではないかなと。まあ僕は理論に明るくないので珍しいわけではないかもしれませんが……半音下がる動きをここに持ってくるのはシリアスな雰囲気(それも重い方向で)を引き立てる役割を持っている気がしますね。
・サビ
唐突にもほどがありますし作曲者も違うので恐縮ですが、『Fate/Grand Order Original Soundtrack V』より『Scarlet Dancer 〜妖精騎士トリスタン戦』のライナーノーツを少し紹介させてください。
狂気の人形が独り、ステージで踊っている。踊り続けたその踵は裂け、血に染まっている。というイメージの曲です。(中略)後半、メロディーが弦からシンセに変わるのは、もう壊れたから。絶叫、金切り声のイメージでもあります。(後略)
『Will of Adamant』において。サビから入ってくる音はこれと同じような味を出していると思えるんですよね。自我を守るための絶叫(決して雄叫びではない)として聴こえてきます。喉に外傷は見当たらないにもかかわらず、血を吐いてしまうぐらい叫ばずにはいられない……そんな必死さがこれ以上ないくらいに伝わってきて。胸がグッと締め付けられます。
そんなサウンドをバックに、"誇り宿す剣で貫いたなら 憎しみの感情も正義になる"だなんて歌詞がパワーたっぷりのボーカルで届けられるんですよ。こんなのダメージを負うなという方が無理。本記事を読んでくれたあなたも、これからはサビを聴くたびにとつてもないダメージを受けてくださいね()
こんなにも悲痛な空気で進んでいき、最後に"願いを叶えるのは 意志の強さだけさ"と高らかに宣言してくれるのがあまりにも気持ちいい。聴き手にとってかけがえのない救いになるのではないでしょうか。
この楽曲は普通にロック調のポップスとしてさらりと聞き流すこともできると思います。ですが細部に注目していくと、人へ確実に傷を残していく楽曲(褒めてる)としての側面が見えてくるはずです。『君とのミチシルベ』とは正反対と言ってもいいでしょう。2曲が揃うことによって、さらにとんでもないスペックを発揮してきていると思いませんか......?少しでも伝わってくれれば嬉しいです。